多くのCADユーザーに支持され、利用されている AutoCAD、AutoCAD LT、知名度の高い汎用CADの特色として、再利用する作図デ-タ-を別々に保存、外部参照機能を利用し合成すれば作図効率も上がり素早い図面管理の手助けとなります。
AutoCAD LTの外部参照は、参照する別の図面を現在の作図図面に挿入します。
挿入といえばブロック挿入がありますが、ブロック挿入と外部参照とは相違点があります。
外部参照とブロック挿入の相違点:
ブロック挿入は、参照するDWGファイルが、現在の図面に完全に統合され図面の一部になります。
外部参照は、現在の図面から参照するDWGファイルへのリンクであり、現在の図面としての実体はありません。
リンクといえば、WEBページからWEBページへのリンクが浮かびますが、外部参照のリンクも似たようなものです。
WEBページが更新されれば参照するページ内容が変わるように、外部参照のリンクも、参照するDWGファイルが更新されれば、合成する現在作図中の図面内容も更新されます。
ブロック挿入のように現在の図面に合成するには、外部参照管理の[バインド]オプションを選択することにより可能ですが、外部参照された図面の更新があっても、外部参照した作図中の図面内容の更新はありません。
外部参照は、[メニューバー] ⇒ [挿入(I)] ⇒ [外部参照(X)]。
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外部参照コマンドを実行すると、参照ファイル選択があり、[外部参照アタッチ]ダイアログボックスが表示され、参照されるDWGファイルが外部参照としてアタッチされます。図①
[名前]:外部参照ファイルを選択すると、窓に外部参照ファイル名をリスト表示。
[参照]:ボタンをクリック選択で、[参照ファイルを選択]ダイアログ ボックスを表示
[検索場所]:外部参照ファイルへのパスを表示。
[保存パス]:絶対パス、相対パスでの保存パスを表示。
[参照タイプ]:外部参照ファイルのアタッチ、上書き、何れかの選択。
[パスの種類]:絶対パス、相対パス、パスなしの何れかの選択。
外部参照アタッチ ダイアログボックス
[挿入位置]:挿入位置の指定。
[画面上で指定] を選択すると、X、Y、Zオプションが使用できなくなり、コマンド ラインに[挿入位置を指定]のコマンドプロンプトが表示される。
[尺度]:外部参照ファイルの尺度を指定。
[回転]:挿入する外部参照ファイルの回転角度を指定。
外部参照管理は、[メニューバー] ⇒ [挿入(I)] ⇒ [外部参照管理(R)]。図②
[一覧表示]ボタン、[ツリー表示]ボタン:アタッチされている外部参照ファイルの一覧表示、ツリー表示の切り替え。
[アタッチ]:外部参照ファイルを選択すると、[外部参照アタッチ]ダイアログ ボックスを表示。
外部参照ファイルの選択がなければ、[参照ファイルを選択]ダイアログ ボックスを表示。
[アタッチ解除]:外部ファイルの参照を削除。
[再ロード]:保存されている最新のファイルを再ロードまたは表示。
[ロード解除]:外部参照ファイルのロード解除。[アタッチ解除]との違いは、ロード解除しても外部ファイルの参照が削除されることはありません。
外部参照管理 ダイアログボックス
[バインド]:外部参照ファイルを現在の図面に合成し一部にします。
[開く]:外部参照ファイルを編集できるように新規ウィンドウで開きます。
[参照]:[新しいパスを選択]ダイアログ ボックスが表示され、別のパスやファイル名を選択できます。
[パスを保存]:現在選択されている外部参照ファイルのパスを保存。
図面枠、タイトルを別ファイルに作成し外部参照を利用して、レイアウトしています。
※ 図③の用紙サイズは、A3を指定。用紙 A1サイズの縮尺:1/100
外部参照によるレイアウトの仕方:
モデル空間の図面枠を削除。図③-A
レイアウトタブに移動し、印刷デバイス、用紙サイズを指定した後、表示されるレイアウトを右クリックのショートカットメニューで削除。図③-B
[メニューバー] ⇒ [挿入(I)] ⇒ [外部参照(X)] ⇒ [外部参照アタッチ]で図面枠を挿入。図③-C
図面枠に合わせ、単一ビューポートを作成し配置。図③-D
単一ビューポートをダブルクリック、モデル空間に移行。図③-E
zoom コマンドでオブジェクトの尺度 1/200XP を入力して用紙サイズにあわせる。図③-E
コマンドウィンドウ
コマンド: <切り替え先: レイアウト1 >レイアウトを再作図中。レイアウトを再作図中。モデルを再作図中 - ビューポートをキャッシュに格納中。
コマンド:交差選択でビューポートを削除。
コマンド:_erase 認識された数:1
コマンド:_xattach アタッチ 外部参照 "zuwakusanpleA3-1_1": I:\・・\zuwakusanpleA3-1_1.dwg "zuwakusanpleA3-1_1" がロードされました。
挿入位置を指定 または [尺度(S)/X/Y/Z/回転(R)/プレビュー尺度(PS)/プレビューX(PX)/プレビューY(PY)/プレビューZ(PZ)/プレビュー回転(PR)]:X 方向の尺度を入力、もう一方のコーナーを指定、または [コーナー(C)/XYZ] <1>:Sを入力。[Enter]
尺度を数値で入力、2D コーナー または オプションのキーワードを入力してください。
X 方向の尺度を入力、もう一方のコーナーを指定、または [コーナー(C)/XYZ] <1>:1を入力。[Enter]
Y 方向の尺度を入力 <X 方向の尺度を使用 >:1を入力。[Enter]
コマンド:-vports
ビューポートの 1 点目を指定 または [表示(ON)/非表示(OF)/フィット(F)/シェーディング印刷(S)/ロック(L)/オブジェクト(O)/ポリゴン状(P)/呼び出し(R)/2/3/4] (フィット):図面枠の一点目を左上交点に[OSNAP]で指定。
もう一方のコーナーを指定:図面枠の二点目を右下交点に[OSNAP]で指定。
もう一方のコーナーを指定:モデルを再作図中。
コマンド:zoom
窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム):sを入力。[Enter]
表示倍率を入力 (nX または nXP):1/200xpを入力。[Enter]
工事名、工事場所、会社名や施主名などを入れた図面枠を作成しておくと、修正時には外部参照ファイルひとつだけですみます。
外部参照によるレイアウト例:
外部参照を利用すれば、複数のファイルをアタッチし、一つの図面として仕上げることができます。
左図は計画図に、現況図を外部参照で挿入した合成図面です。図④
元ファイルと同じように画層が参照でき、画層の表示、非表示の操作も可能になりますが、線種、色などの変更は、元ファイルを変更しなければ反映されません。
元ファイル1つのみを変更すれば、参照する全てのファイルに反映されますので、複数ファイルを変更する手間が省けます。
ただ、異種CADとのデーター受け渡しは、[アタッチ]による外部参照ではなく、[バインド]によるデーター受け渡しをお勧めします。
モデル空間で現況図と計画図のアタッチ
図の例では、図面内の同一座標A、B、C、Dの中から、挿入基点 A、B を基にして[アタッチ]しています。図④
[メニューバー] ⇒ [ツール(T)] ⇒ [情報(Q)] ⇒ [位置表示(I)]で、座標 A、B の X、Y 位置が同一、座標 C、D の X、Y位置が同一であれば、[アタッチ]の挿入位置は、0、0、0 尺度は1、1、1 です。
座標 の X、Y 位置が同じでなければ、挿入位置を[画面上で指定]で挿入。
図⑥を交差選択、座標Bの交点を[OSNAP]で捉え、図⑤の座標Aの交点にスナップ移動で合成します。図④
モデル空間での現況図と計画図の合成
コマンドウィンドウ
コマンド:_xattach
アタッチ 外部参照 "genkyoSample": I:\genkyoSample.dwg "genkyoSample" がロードされました。図⑤
挿入位置を指定 または [尺度(S)/X/Y/Z/回転(R)/プレビュー尺度(PS)/プレビューX(PX)/プレビューY(PY)/プレビューZ(PZ)/プレビュー回転(PR)]:任意の位置に挿入。
コマンド:'_zoom
窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム):_all(※ 図⑥を全体を表示。)
コマンド:'_zoom
窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム): _w(※[OSNAP]で座標Bの交点を選択するために窓ズーム)
最初のコーナーを指定: 窓ズーム一点目を指定。もう一方のコーナーを指定:窓ズーム二点目を指定して座標Bの交点を[OSNAP]。
コマンド: もう一方のコーナーを指定:図⑥を交差選択
コマンド: _move 認識された数: 1
基点 または 移動距離を指定: 目的点を指定 または <基点を移動距離として使用>:'_zoom >>窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム):_all(※ 図⑤を全体を表示。)
MOVE コマンド再開。
目的点を指定 または <基点を移動距離として使用>:'_zoom >> 窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム>:_w >>最初のコーナーを指定: >>もう一方のコーナーを指定:、挿入位置の座標 A を窓ズーム。
MOVE コマンド再開。
目的点を指定 または (基点を移動距離として使用):座標 A の交点に移動。
コマンド:'_zoom
窓のコーナーを指定、表示倍率を入力(nX または nXP) または [図面全体(A)/中心点(C)/ダイナミック(D)/オブジェクト範囲(E)/前画面(P)/倍率(S)/窓(W)] (リアル タイム):_all(※ 図④を全体を表示。)
ビューポートを印刷のため、[レイアウト]タブ(ペーパー空間)で利用しましたが、もちろんのこと[モデル]タブ(モデル空間)でも利用できます。
AutoCAD LT の、作図領域は制限がありません。
そのため、[モデル]タブの作図領域を複数の矩形ビューポートに分割して、さまざまな領域の表示をビューポートが可能にしています。
分割されたビューポートに尺度を指定すれば、いろいろな詳細も尺度にあった表示をすることができます。図7
尺度指定は:ビューポート内でzoomコマンドを実行、倍率(S)を選択して表示倍率を入力。例:5Xは拡大、1/5XPは縮小
また、ひとつのビューポートを更新すれば、表示されている全てのビューポートが同じように更新されます。
ビューポートの配置は、[メニューバー] ⇒ [表示(V)] ⇒ [ビューポート(V)]、または、[ツールバー]⇒ [ビューポート管理]。
モデル空間 ビューポート
既定値のビューポート例:
二分割ビューポート
縦、横に分割されたビューポート。(図8-aは、縦二分割)
三分割ビューポート
上一・下二の三分割、上二・下一の三分割、左一・右二の三分割、左二・右一の三分割。(図8-bは、左一・右二の三分割)
四分割ビューポート
四ビューポートに分割。(図8-c)
AutoCAD LT 既定値のビューポート
上記以外にも、分割されたビューポートをクリック選択し、vportsコマンドを実行して作成するビューポート数を指定すれば、さらに分割することができます。
分割されたビューポートをさらに分割
[レイアウト]タブのモデル空間でズーム操作をすると、尺度が変更されてしまい、あらためて尺度設定をすることになります。
モデル空間でビューポート尺度を設定した後、ビューポート尺度をロックすれば、そのような手間は省けます。
尺度ロックで、選択されたビューポートの尺度はロックされ、様々なズーム操作においても尺度がかわることはありません。
図は、三分割されたビューポートの尺度をロックした例
[レイアウト]タブで尺度をロックする矩形ビューポートの境界線(※ a部〉をクリックした後、右クリックでショートカットメニューを表示。図8
ショートカットメニューから[ビューポートのビューをロック(L)]を選択、次に[はい]を選択。
現在のビューポートの尺度がロックされ、ズーム操作において尺度変更することはありませんが、レイアウトタブ(ペーパー空間)のみが対象です。
レイアウト(ペーパー空間) 尺度ロック