作図された図形の識別表現に利用されるハッチングやグラデーションを参考例で説明、選択されたオブジェクトを一定のパターンで塗り潰すハッチング、グラデーションをマスターする AutoCAD 入門のお手伝いをします。
ハッチングは、選択されたオブジェクトを定義されたハッチングパターンで塗り潰して、作図された図形の識別表現に利用されます。
ハッチングコマンドは、[メニューバー] ⇒ [作成(D)] ⇒ [ハッチング(D)]から選択、または、[ツールバー]のハッチングアイコンより選択。
コマンドウィンドウ
コマンド:bhatch、短縮は、h
コマンドのキャンセルは、[ESC]キー。
指定する領域にハッチングするには、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスでパターン、タイプなどを設定します。
[タイプ(Y)]:パターンタイプの設定。プルダウンメニューから、標準の[定義済みパターン]、[ユーザー定義]、[カスタム]を選択。
標準の[定義済みパターン]は、AutoCAD LT で[定義済みパターン]を指定。
[ユーザー定義]は、現在の図面の線種に基づき、ユーザー自ら線分のパターンを作成し、指定。
[カスタム]は、AutoCAD LT 検索パスに追加した任意のカスタム.patファイルで定義されているパターンを指定。
[カスタム]オプションの使用には、カスタムパターンを作成する必要があります。
[パターン(P)]:使用可能な定義済みパターンの一覧をリスト表示。
最近使用した 6 つの定義済みパターンをリストボックスに表示。
ハッチングタブ
[見本]:選択したパターンのプレビューを表示。
[見本]をクリックすると[ハッチング パターン パレット]ダイアログボックスが表示され、このダイアログボックスからパターンを選択することもできます。
また、[他の定義済みパターン]メニューで、SOLIDを選択すれば255色の塗り潰しが可能です。
[カスタムパターン(T)]:使用できるカスタムパターンを表示。
[角度(L)]:現在のUCS(ユーザー座標)の X 軸を基準にしたハッチングパターンの傾斜角度を指定。
[尺度(S)]:ハッチングパターンの拡大/縮小率を指定。
[尺度(S)]オプションは、[タイプ(Y)]を[定義済みパターン]か[カスタム]設定にした時だけ使用可能。
[ペーパー空間と連動(E)]:ペーパー空間の単位を基準にして、ハッチング パターンの尺度を設定。
[間隔(C)]:ユーザ定義のハッチングパターンの線分の間隔を指定。
[間隔(C)]オプションは、[タイプ(Y)]をユーザー定義]に設定した時だけ使用可能。
[ISO ペン幅(O)]:選択したペン幅に基づいて、定義済みのISOパターンに設定。
[ISO ペン幅(O)]オプションは、[タイプ(Y)]を[定義済みパターン]に設定、[パターン(P)]をISOパターンに設定した時だけ使用可能。
[内側の点をクリック(K)]ボタン:既存のオブジェクトから、閉じたハッチング領域を作り、AutoCAD LT は境界を生成。
[内側の点をクリック(K)]ボタンをクリックすると、一時的にダイアログボックスを閉じ、点位置の指示を求めるプロンプトを AutoCAD LT は表示。
[内側の点をクリック(K)]オプションを使用して AutoCAD LT がオブジェクトを検出する方法は、[詳細]タブで選択した[島検出方法]によって決まります。
[オブジェクトを選択(B)]ボタン:ハッチング、塗り潰しの対象となるオブジェクトの選択。
ダイアログボックスを一時的に閉じ、オブジェクト選択の指示プロンプトを AutoCAD LT は表示。
[オブジェクトを選択(B)]ボタンで、境界を作成するなら内側のオブジェクトも選択しないと、AutoCAD LT は島検出をしません。
[島を除外(R)]ボタン:[内側の点をクリック(K)を使用したとき、AutoCAD LT は島として検出された任意のオブジェクトを境界定義から除外します。
外側の境界を除外することはできません。
[選択セットを表示(V)]ボタン:ダイアログボックスが一時的に閉じ、現在定義されている境界を直前にプレビューしたハッチング、塗り潰しの設定で表示。
[選択セットを表示(V)]オプションは、点を指定していない時やオブジェクトを選択していない時は使用できません。
[プロパティを継承(I)]ボタン:作成されたオブジェクトのハッチングプロパティや塗り潰しプロパティを使用して、新しいハッチングや塗り潰しを作成。
[ダブル(D)]チェックボックス:ユーザ定義のパターンで、元線と90°の角度をもつ2番目の線のセットを作成してクロスハッチングを作成。
[ダブル(D)]オプションは、[タイプ(Y)]の[ユーザー定義]の設定のみ使用可能。
[自動調整(A)]:自動調整ハッチングや自動調整塗り潰しを作成。
自動調整ハッチングや自動調整塗り潰しでは、境界を変更してもパターンは自動調整されます。
[非自動調整(N)]:非自動調整は、ハッチング境界の変化に依存しないハッチングや塗り潰しを作成。
[プレビュー(W)]ボタン:AutoCAD LT はダイアログボックスが一時的に閉じ、現在定義されている境界に設定されたハッチングでプレビュー表示します。
境界定義の点指定、オブジェクト選択がないときは、[プレビュー(W)]オプションは使用できません。
詳細タブは境界、ハッチング、塗り潰しの作成方法を定義。
[島の検出スタイル]:ハッチング境界内にある最も外側のオブジェクトの、ハッチング、塗り潰し方法を指定。
内部境界が存在しなければ、[島の検出スタイル]オプションを指定しても効果はでませんので、最善な境界スタイルが設定できる[標準]を使用するほうが無難。
[標準]:外側の境界から内側方向に、ハッチング、塗り潰しをします。
ハッチングパターンが、内側の交点を検出すると AutoCAD LT はハッチング、塗り潰しを停止し、次回の交点が検出されるまでハッチング、塗り潰しはしません。
[外側のみ]:外側の境界から内側方向にハッチング、塗り潰しをします。
ハッチングパターンが、内側の交点を検出すると、AutoCAD LT はハッチング、塗り潰しを停止し、再度、ハッチング、塗り潰しをしません。
もっとも、外側のレベルの構造だけがハッチング、塗り潰しされ、内側の構造はすべて空白のまま残ります。
ハッチングタブ詳細タブ
[内側含む]:内側のオブジェクトを、すべて無視してハッチング、塗り潰しをします。
[境界を保持]:一時的な境界オブジェクトを図面に追加。
[オブジェクトタイプ]:一時的な境界オブジェクトのタイプを選択。
[オブジェクトタイプ]オプションで、利用できるタイプは、リージョン、ポリラインであり、[境界を保持]をチェックオンしたときに有効。
[境界セット]:[新規境界セット作成]を使用して選択したオブジェクトから境界セットを定義。
プルダウンメニューの[現在のビューポート]は、現在のビューポートに表示されているすべてのオブジェクトから境界セットを作成し、 境界セットがある場合には、既存の境界セットは放棄され、現在のビューポートに表示されているすべてのオブジェクトが使用されます。
[新規境界セット作成]ボタン:ダイアログボックスが一時的に閉じ、オブジェクト選択のプロンプトを表示。
作成した境界セットは、bhatchコマンドを終了するか、新規境界セットを作成するまで有効です。
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[新規境界セット作成]ボタンを使用して境界範囲を作成していないときは、[既存のセット]はプルダウンメニューにありません。
[島検出方法]:最も外側境界の内側にあるオブジェクトを、境界オブジェクトとして含めるかどうかを指定。
内側にあるオブジェクトが「島」と呼ばれています。
[フラッド]:島を境界オブジェクトとして含める。
[レイキャスティング]:島を境界オブジェクトから除外。
塗り潰しでグラデーションを利用する場合は外観を設定。
[1 色]:明暗の調整スライドバーにより、1色の明暗の変化を利用した塗り潰しを指定。
調整スライドバーの明暗の変化が、[グラデーションのパターン]に表示されます。
[参照]ボタン[...]をクリック選択すると、[色選択]ダイアログボックスが一時的に表示され、色が択ができます。
AutoCAD LT インデックス カラー、True Color、カラー ブックから色選択が可能。
[2 色]:2色の色変化を使用して、塗り潰しを指定。
[2 色]を選択すると、[色 1]と[色 2]が表示され、それぞれの色見本の[参照]ボタン[...]から[色選択]が可能になり、[グラデーションのパターン]で変化の参照ができます。
グラデーションタブ
[色 1]、[色 2]の色見本は、AutoCAD LT インデックス カラー、True Color、カラー ブックから選択が可能。
[色見本]:グラデーションで塗り潰しを行う色パターンの選択指定。
[中心]:チェック ボックスをオンにするとグラデーションのパターンを左右対称に設定します。
チェック ボックスをオフにすると、グラデーション塗り潰しは左上に向かって変化。
[角度]:グラデーション塗り潰しの角度の設定。
現在の UCS の角度が基準。
[グラデーションのパターン]:グラデーション塗り潰しの、線状スイープパターン、球状パターン、放物線状パターンが含まれた9種類の固定パターンを表示。
一般的なハッチング①
ハッチングコマンドを実行。
コマンドウィンドウ
コマンド:_bhatch ※[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを表示。
[オブジェクトを選択]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる
オブジェクトを選択:円周上をクリック選択。
認識された数: 1
オブジェクトを選択:右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。(※ 右クリックのカスタマイズ設定が必要。)
プレビュー選択なら、コマンドラインは次のようになります。
<ハッチングをプレビュー>点をクリック または [Esc]を押してダイアログに戻る または <右クリックでハッチングを受け入れ>:受け入れなら[Enter]
ハッチング設定:タイプ・[定義済みパターン]、パターン・[ANSI31]、詳細・[標準]
内側のみハッチング②
ハッチングコマンドを実行。
コマンドウィンドウ
_bhatch ※[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを表示。
[内側の点をクリック]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
内側の点を指定:内側の点aをクリック選択。
コマンドラインに、「すべてを選択中...表示されているすべてのオブジェクトを選択中...選択されたデータを分析中...内側の島を分析中...」と表示。
内側の点を指定:右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。(※ 右クリックのカスタマイズ設定が必要。)
プレビュー選択なら上記同様。
ハッチング設定:タイプ・[定義済みパターン]、パターン・[ANSI31]、詳細・[標準]
内側のみハッチング③
内側のみハッチング②と同様で、内側の点の指定箇所のみが違う。
内側も含むハッチング④
ハッチングコマンド実行。
コマンド:_bhatch※[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを表示。
[内側の点をクリック]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
オブジェクトを選択:円内の点aをクリック選択。
認識された数:1
オブジェクトを選択:右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。(※ 右クリックのカスタマイズ設定が必要。)
<ハッチングをプレビュー>点をクリック または [Esc]を押してダイアログに戻る または <右クリックでハッチングを受け入れ>:受け入れなら[Enter]
ハッチング設定:タイプ・[定義済みパターン]、パターン・[ANSI31]、詳細・[内側も含む]
図⑤-1
ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、色見本:マゼンタ(Magenta)
[オブジェクトを選択]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円周上の点aをクリック。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
図⑤-Ⅱ
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、色見本:マゼンタ(Magenta)
[内側の点をクリック]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円内の点bをクリック選択。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
図⑤-Ⅲ
円内の点c、点dを個別選択して塗り潰しハッチングを行っています。
一回目ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、色見本:マゼンタ(Magenta)
[内側の点をクリック]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円内の点cをクリック選択。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
点cの塗り潰しハッチングを終了。
二回目ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、色見本:青(Blue)
[内側の点をクリック]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円内の点dをクリック選択。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
図⑥-Ⅰ
ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、グランディーション:1色、色見本:青(Blue)、中心にチェック、角度:0、グラデーションのパターン・左下。
[オブジェクトを選択]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円周上の点aをクリック。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
図⑥-Ⅱ
ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、グランディーション:1色、色見本:青(Blue)、中心にチェック、角度:0、グラデーションのパターン・左上。
[オブジェクトを選択]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円周上の点aをクリック。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。
図⑥-Ⅲ
ハッチングコマンドを実行。
タイプ:[定義済みパターン]、パターン・[SOLID]、詳細・[標準]、グランディーション:2色、色見本:1色目・青(Blue)、2色目・82、中心にチェック、角度:0、グラデーションのパターン・左上。
[オブジェクトを選択]ボタンをクリックして、[境界ハッチングと塗り潰し]ダイアログボックスを一時的に閉じる。
円周上の点aをクリック。
右クリックでショートカットを表示して、プレビュー、[Enter]の何れかを選択。