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多くのCADユーザ-に支持されている AutoCAD、AutoCAD LT は、高い知名度とシェアを誇る汎用CAD、CAD作図を学びたい方に AutoCAD LT の、豊富な機能を説明、CAD作図をマスターする AutoCAD 入門のお手伝いをします。

複数の平行線から構成され、建築図の壁、電気図の配線、上下水道図の配管に利用されるマルチライン、マルチラインの要素プロパティ、スタイル管理を参考例で説明、作図コマンド・マルチラインをマスターする AutoCAD 入門のお手伝いをします。

 AutoCAD LT 作図コマンド:マルチライン

AutoCAD LT では、複数の平行線を「マルチライン」と呼び、建築図の壁、電気図の配線、上下水道図の配管に利用できる作図コマンド。

マルチラインは、[メニューバー] ⇒ [作成(D)] ⇒ [マルチライン(M)]から選択。

コマンド:mline、短縮は、ml

マルチラインコマンドを使用する前に、[マルチライン スタイル管理]で各種設定をします。

 マルチライン スタイル管理

[メニューバー] ⇒ [形式(O)] ⇒ [マルチライン スタイル管理(M)]を選択。図①

[マルチライン スタイル管理]ダイアログ ボックスでは、最大16個までの要素が追加でき、マルチラインスタイルをファイルに保存、追加、名前の変更ができます。

[現在]:マルチライン スタイルの現在を表示、または、プルダウンメニューから名前を選択、現在の設定にします。

[名前]:新規マルチラインスタイルの名前入力、または、名前変更。

[説明]:スペースを含め、最大 255 文字でマルチライン スタイル説明の付加。

[ロード]:[マルチラインスタイルをロード]ダイアログ ボックスを表示、マルチラインスタイルファイルを読込み。

[保存]:名前入力して[保存]ボタンをクリックするとマルチラインスタイルを保存。

[追加]:[名前]ボックスのマルチラインスタイルを[現在]リストに追加。

[名前変更]:マルチラインスタイルの名前変更。

[要素プロパティ]:[要素プロパティ]ダイアログ ボックスを表示。図②

現在のマルチライン要素の番号、オフセット、色、線種などの設定。

[マルチラインプロパティ]:[マルチラインプロパティ]ダイアログ ボックスを表示。図③

マルチラインの各端部、連結、背景色などの設定ができます。

マルチライン スタイル管理

マルチライン スタイル管理

 マルチライン 要素プロパティ

要素プロパティは、新規、現在のマルチラインの要素番号、オフセット、色、線種などの設定をします。

[要素]:現在のマルチラインスタイルのすべての線分要素を表示。

[追加]:新規線分要素を追加。

[削除]:線分要素を削除。

[オフセット]:線分要素のオフセットを指定。

[色]:線分要素の色の表示や設定。

[色]ボタン、及び色見本をクリック選択すると、[色選択]ダイアログ ボックスを表示。

[線種]:線分要素の線種の表示や設定。

マルチライン 要素プロパティ

マルチライン 要素プロパティ

 マルチライン プロパティ

連結部の表示設定、開始キャップ、終了キャップの角度、背景色などの設定。

[連結表示]:各マルチラインの連結部の表示を設定。

[キャップ]:マルチラインの開始キャップと終了キャップの設定。

[線分]:マルチラインの終端部を結ぶ直線の作成。

[外側円弧]:一番外側の2つの要素の間に円弧を作成。

[内側円弧]:2つの内側要素の間に円弧を作成。

[角度]:端部キャップの角度を設定。

[塗り潰し]:マルチライン背景の塗り潰しを設定。

[オン]:背景塗り潰しをオンに設定。

[色]:背景塗り潰し色の表示及び設定。

マルチライン プロパティ

マルチライン

 マルチライン参考例

図④は、3パターンのマルチラインスタイル。

図④-A;要素プロパティダイアログ ボックスより、要素:オフセット、200、-200、色、BYLAYER、線種、BYLAYERに設定。

マルチラインプロパティは、連結表示ボックス チェック OFF、開始、終了角度に90°を入力。

図④-B;要素プロパティダイアログ ボックスより、要素:オフセット、200、-200、色、BYLAYER、線種、BYLAYERに設定。

マルチラインプロパティは、連結表示ボックス チェック ON、開始、終了角度に90°を入力。

図④-B;要素プロパティダイアログ ボックスより、要素:オフセット、200、-200、色、BYLAYER、線種、BYLAYERに設定。

マルチラインプロパティは、連結表示ボックス チェック ON、キャップ 開始、終了とも線分にチャック、開始、終了角度に90°を入力。

オフセット間隔で要素の色、線種は変えれば、電気配線図にも利用できます。

また、建築図の壁の作成などは、オフセットの位置あわせで簡単に作図できます。

マルチライン参考例

マルチライン参考例

 建築図:壁の作図 参考例

図④-Aのマルチラインスタイルを使用して建築図の壁を作成。

壁作図の基準線。図⑤

座標としてX1からX5、Y1からY3まで作成。

一括で外周を作図。図⑥

OSNAP ONで、設定は交点にチェック。

[メニューバー] ⇒ [作成(D)] ⇒ [マルチライン(M)]を選択実行。

コマンド:_mline

現在の設定:位置合わせ = ゼロ、尺度 = 1.00、スタイル = KABE200-1 始点を指定 または [位置合わせ(J)/尺度(S)/スタイル(ST)]:jを入力。基準線にカーソルの中心を合わせるための位置合わせ。

※ 図④で使用したマルチラインスタイルが、既定値となって引継がれています。

建築図:壁の作図

壁作図の基準線

位置合わせタイプを入力 [上(T)/ゼロ(Z)/下(B)] <ゼロ>:カーソルの中心を基準線にあわせるため z(ゼロ)を入力。

現在の設定:位置合わせ = ゼロ、尺度 = 1.00、スタイル = KABE200-1 始点を指定 または [位置合わせ(J)/尺度(S)/スタイル(ST)]:X1、Y1の交点aをクリック。

次の点を指定:X4、Y1の交点bをクリック。

次の点を指定 または [元に戻す(U)]:X4、Y2の交点cをクリック。

次の点を指定 または [閉じる(C)/元に戻す(U)]:X5、Y2の交点dをクリック。

次の点を指定 または [閉じる(C)/元に戻す(U)]:X5、Y3の交点eをクリック。

次の点を指定 または [閉じる(C)/元に戻す(U)]:X1、Y3の交点fをクリック。

次の点を指定 または [閉じる(C)/元に戻す(U)]:X1、Y1の交点gをクリック。

次の点を指定 または [閉じる(C)/元に戻す(U)]:[Enter]、または右クリックで確定。

建築図:壁の作図

マルチラインで外周作図

壁A、壁B、壁C、を追加作図。図⑦

OSNAP ON、マルチラインコマンドを実行。壁Aの作図

コマンド:_mline

現在の設定: 位置合わせ = ゼロ、尺度 = 1.00、スタイル = KABE200-1 始点を指定 または [位置合わせ(J)/尺度(S)/スタイル(ST)]:交点aをクリック。

次の点を指定:交点bをクリック。

次の点を指定 または [元に戻す(U)]:[Enter]、または右クリックで確定。

同様にマルチラインコマンドを実行して、交点c、dをクリックして壁B、交点e、fをクリックして壁Cを作図。

建築図:壁の作図

壁の追加作図

コーナー連結とT字交差作成のため、[マルチライン編集ツール]を実行。図⑧

[マルチライン編集ツール]は、[メニューバー] ⇒ [修正(M)] ⇒ [オブジェクト(O)] ⇒ [マルチライン(M)]を選択。

[マルチライン編集ツール]ダイアログ ボックスには、[十字を閉じる] 、[十字を開く] 、[十字を結合]、

[T 字を閉じる]、[T 字を結合]、[コーナー連結]、[頂点を追加]、[頂点を削除]のコマンドがあります。

図⑧-Ⅰの[コーナー連結]と図⑧-Ⅱの[十字を開く]が使用したコマンドです。

マルチライン編集ツール

マルチライン編集ツール

[マルチライン編集ツール]でコーナー連結とT字交差に修正。図⑨

[マルチライン編集ツール]を実行、図⑧-Ⅰの[コーナー連結]をクリック、[OK]ボタンで選択実行。

a部の連結。

コマンド:_mledit

1本目のマルチラインを選択:点1をクリック。

2本目のマルチラインを選択:点2をクリック。

1本目のマルチラインを選択 または [元に戻す(U)]:[Enter]、または右クリックで確定。

[マルチライン編集ツール]を実行、図⑧-Ⅱの[十字を開く]クリック、[OK]ボタンで選択実行。

b部、c部、d部、e部、f部、g部のT字交差を連続修正。

コマンド:_mledit

1本目のマルチラインを選択:点1をクリック。

2本目のマルチラインを選択:点2をクリック。

1本目のマルチラインを選択 または [元に戻す(U)]:同様にc部、d部、e部、f部、g部の点1、点2をクリック選択して修正。

全ての修正が完了したら[Enter]、または右クリックで確定して終了。

コーナー連結とT字交差

マルチライン

作図終了した壁。

壁の作図終了

3パターンのマルチラインスタイルを作成していますが、新たにマルチラインスタイルを作成するには、[追加]を選択し、用途にあったスタイルを作成します。

また、[要素プロパティ]よりスタイルに要素を追加したり、既存の要素を修正変更することもできます。

連結部の表示、非表示、開始キャップと終了キャップの形や角度、塗り潰しの色などを変更すると様々なマルチラインスタイルができあがります。