AutoCAD LT の寸法スタイルを説明、AutoCAD LT の寸法記入のスタイル、寸法線、寸法補助線、矢印の種類、寸法の基本単位など、図面の全体的調和を意図する寸法スタイル機能を活用することで、AutoCAD入門の手助けとなります。
図①-A、補助線延長長さ(X)
図①-B、文字の高さ(T)
図①-C、寸法線から文字までのオフセット
図①-D、補助線起点からのオフセット(F)。
図①-E、矢印
図-a、寸法開始位置、図-a’寸法終了位置
図-b、寸法補助線-1
図-c、寸法補助線-2
寸法線、寸法値、補助線の位置関係
矢印には、塗り潰し矢印、空矢印、30゜開き矢印、黒丸矢印、白丸矢印などの数種があり、一般的に使用されるのが30゜開き矢印、黒丸矢印、白丸矢印などです。
矢印の選択は、建築、電気設備図面が黒丸か、白丸矢印、土木図面では30゜開き矢印などが多く見受けられ、目的別に選択しているのが伺えます。
図②は、30゜開き矢印ですが、aが矢印の長さ、bが矢印角度 30゜になります。
寸法は、作図するオブジェクトにより記入方法がいくつかあり、記入寸法の選択によりコマンドもその都度変わってきます。
左図③の寸法タイプは、
a、長さ寸法、オブジェクトの延長を表し、水平、垂直に記入する寸法スタイル。
b、直列寸法、長さ寸法記入後に一列に連続して長さを記入する寸法スタイル。
寸法は、作図するオブジェクトにより記入方法がいくつかあり、記入寸法の選択によりコマンドもその都度変わってきます。
寸法記入スタイル
左図③の寸法タイプは、
a、長さ寸法、オブジェクトの延長を表し、水平、垂直に記入する寸法スタイル。
b、直列寸法、長さ寸法記入後に一列に連続して長さを記入する寸法スタイル。
c、並列寸法、区間毎に記入された長さを記入する寸法スタイル。
d、平行寸法、角度で長さを記入する寸法スタイル。
e、半径寸法、円の半径を記入する寸法スタイル。
f、直径寸法、円の直径を記入する寸法スタイル。
g、角度寸法、円の角度を記入する寸法スタイル。
h、引出線、詳細コメントなどの注釈を記入する寸法スタイル。
a~hが図面作図によく使用される寸法スタイル、AutoCAD LTにはその他にも寸法記入スタイルがあります。
AutoCAD LTは、実寸の作図であることから、寸法もまた実寸作業になります。
実寸で作図されたオブジェクトに寸法を記入するには、フィットタブの「寸法図形の尺度」⇒「全体の尺度」に印刷時の尺度を設定しておきます。
フィットタブの「寸法図形の尺度」に、レイアウト尺度(ペーパ-空間の尺度)を選択すると、「全体の尺度」は無視されます。
寸法補助線のオフセット、文字高さ等は、印刷された時の大きさを想定しながら設定、または修正するのが無難です。
また、各タブのプレビュー欄に、オプション設定時のイメージ効果が表示されますので参照することをお勧めします。
寸法スタイルを設定する前に、寸法値や引出し線の文字のために、寸法値用の文字スタイルを作成しておきます。
寸法スタイルの設定は、[メニューバー] ⇒ [形式(O)] ⇒ [寸法スタイル管理(D)]、[寸法スタイル管理]ダイアログボックスで設定します。
[寸法スタイル管理]ダイアログボックスには、[スタイル(S)]、[一覧](L)]、[現在に設定(U)]、[新規作成(N)]、[修正(M)]、[上書き(O)]、[比較(C)]の各設定項目があります。
[スタイル(S)]
作成された全ての寸法スタイルを表示
寸法スタイル管理 ダイアログボックス
[一覧](L)]
全ての寸法スタイル、現在の寸法スタイル表示の切り替え。
[現在に設定(U)]
[スタイル(S)]の寸法スタイルから選択したスタイルを作図に適用。
[新規作成(N)]
寸法スタイルを新規に作成。
[修正(M)]
寸法スタイルを修正。
[上書き(O)]
寸法スタイルに一時的な上書き設定。
[比較(C)]
寸法スタイルを比較、または、いち寸法スタイルのすべてを表示。
[寸法スタイル管理]ダイアログボックスで、[新規作成(N)]を選択すると、[寸法スタイルを新規作成]ダイアログボックスを表示します。
[新しいスタイル名(N)]に新規作成する寸法スタイルの名称を入力、開始元(S)は現在作成されている寸法スタイルから選択、適用先(U)のプルダウンメニューからは、「全ての寸法」、「長さ寸法」、 「角度寸法」、「半径寸法」、「直径寸法」、「座標寸法」、「引き出し線と幾何公差」が選択して[続ける]ボタンを選択クリック。
寸法スタイル 新規作成
[寸法スタイルの新規作成]ダイアログボックスに、[寸法線と矢印] 、[寸法値]、[フィット]、[基本単位] 、[変換単位] 、[許容差] などの設定項目タブが表示されます。
ここでの設定は、ページ設定のレイアオウト設定にモデルタブを使用、用紙サイズを選択した後、印刷尺度を適用するものとします。
レイアオウト設定で印刷尺度を1:1にして、レイアオウトタブからの印刷では、寸法スタイルは実寸での記入になります。
モデルタブからの印刷なら「寸法のフィット」タブで「全体の尺度」から印刷尺度を適用すれば設定はより簡単になります。
寸法線と矢印タブには、「寸法線」、「寸法補助線」、「矢印」、「円の中心マーク」設定項目があります。
「寸法線」
色(C)、ByLayer、ByBlock、255色より寸法線の色をプルダウンメニューより選択。
プルダウンメニューの[色選択]で、[色選択]ダイアログ ボックスが表示され、色名、色番号で選択できます。
線の太さ(G)、プルダウンメニューよりByLayer、ByBlock、0.00~2.11より寸法線の太さを設定。
並列寸法の寸法線間隔(A)、並列寸法の寸法線間の間隔を設定。
フィットタブの寸法図形の尺度で「全体の尺度」を選択、設定を1.0にすると、実寸設定になり、「全体の尺度」を印刷尺度に合わせれば、実寸 ÷ 尺度が印刷時の並列寸法の寸法線間隔になります。
フィットタブのレイアウト尺度(ペーパ-空間の尺度)を選択すると、「全体の尺度」は無視されますので、実寸での記入になります。。
寸法線と矢印
省略、寸法線-1(M)の□チェック ボックスをクリック選択すると、1番目の寸法線が省略され、寸法線-2の□チェック ボックスをクリック選択すると、2番目の寸法線が省略されます。
寸法補助線
色(R)、ByLayer、ByBlock、255色より寸法線の色をプルダウンメニューより選択。
線の太さ(W)、プルダウンメニューよりByLayer、ByBlock、0.00~2.11より寸法線の太さを設定。
補助線延長の長さ、起点からのオフセットは、フィットタブの「全体の尺度」を1.0に設定すれば、実寸での設定。
「全体の尺度」を印刷尺度に合わせれば、実寸 ÷ 尺度で補助線延長の長さ、起点からのオフセットは印刷時の寸法補助線になります。
省略、寸法補助線-1(E)の□チェック ボックスをクリック選択すると、1番目の寸法補助線が省略され、寸法補助線-2の□チェック ボックスをクリック選択すると、2番目の寸法補助線を省略。
「矢印」
1番目(T)、プルダウンメニューより1本目の寸法線矢印を選択。
2番目(D)、プルダウンメニューより2本目の寸法線矢印を選択。
引出線(L)、プルダウンメニューより引出線の矢印を選択。
矢印のサイズ(I)、フィットタブの寸法図形尺度より、「全体の尺度」を選択、実寸設定か、図寸設定かを選択して記入。
「円の中心マーク」
タイプ(Y)、円中心の表示を無し、マーク、線分の何れかをプルダウンメニューより選択。
サイズ(Z)、マーク、線分の場合のサイズ
フィットタブの寸法図形の尺度より、「全体の尺度」を選択、実寸設定か、図寸設定かを選択して記入。
寸法値には、「寸法値の表示」、「寸法値の配置」、「寸法値の位置合わせ(A)」の設定項目があります。
「寸法値の表示」
文字スタイル(Y)は、文字スタイル管理で設定したスタイル名をプルダウンメニューより選択。
文字の色(C)、プルダウンメニューより選択。
文字の高さ(T)、文字は実寸で作図して、印刷では尺度の合わせて文字の高さが出力されます。
フィットタブの「全体の尺度」を1.0に設定すれば、文字の高さ、オフセットはすべて実寸設定になります。
「全体の尺度」を印刷尺度に合わせれば、実寸 ÷ 尺度が文字高さになり図寸設定となります。
文字高さ400mmの作図なら、フィットタブの「全体の尺度」が1/100の場合、文字高さは4の設定で図寸設定。
寸法値
「寸法値の配置」
垂直方向(V)、寸法値の配置を寸法線より上、中心、外側に配置するかプルダウンメニューより選択。
図面作図では寸法線より上が基本的に見受けられるスタイル。
水平方向(Z)、寸法値の配置を中心、または寸法補助線-1、寸法補助線-2よりにするか、プルダウンメニューより選択。
基本的には中心。
寸法線からのオフセット(O)、寸法線と文字下までの間隔を設定。
フィットタブの「全体の尺度」により、実寸設定か、図寸設定かを選択。
「寸法値の位置合わせ(A)」
常に水平、寸法線の傾きにあわせる、ISO標準の何れかを選択。
基本的には寸法値を寸法線の傾きに合わせて配置。
フィットには、「フィットオプション」、「寸法値の配置」、「寸法図形の尺度」、「微調整」の設定項目があります。
「フィットオプション(F)」
フィットオプションは、寸法間隔が狭い場合に、寸法値、矢印の何れか先を寸法補助線の外側に出す選択です。
○最適フィット、○矢印、○寸法値、○寸法値と矢印、○寸法値は常に寸法補助線の内側、□寸法補助線内に両方を入らない場合は矢印を省略、より何れかを選択。
最適フィットか、寸法値と矢印を選択。
寸法のフィット
寸法値の配置
「寸法値」タブで設定された以外の場所に寸法値を移動する場合の選択。
○寸法値を移動すると寸法線も移動、○寸法値を移動した時引出線を記入、○引出線なしに寸法値を自由に移動。
寸法スタイルにより、何れかを選択。
寸法図形の尺度
「全体の尺度」を1.0に設定すれば、文字の高さ、オフセットはすべて実寸設定になり、「全体の尺度」を印刷尺度に合わすと、実寸 ÷ 尺度が、印刷時の寸法設定になります。
レイアウト尺度(ペーパ-空間の尺度)を選択すると、「全体の尺度」は無視されますので文字の高さ、すべてのオフセットは実寸記入となります。
微調整(T)
□寸法記入時に寸法値を手動で配置、□常に寸法線を寸法補助線の内側に記入。
寸法スタイルにより、何れかを選択。
基本単位の設定項目には、「長さ寸法」、「計測尺度」、「省略表記」、「角度寸法」、「角度寸法」がります。
「長さ寸法」
単位形式(U)、プルダウンメニューより、指数表記、十進表記、工業図面表記、建築図面表記の何れかを選択。
基本的には十進表記を選択。
精度(P)、長さ寸法の精度を設定。
基本的には、0を選択しますが、0.000などの精度が必要な場合には変更します。
十進数の区切り(C)、プルダウンメニューよりピリオド、カンマ、スペースの何れかを選択。
丸め(R)、寸法値を丸める値を設定。
基本的には、0を選択。
寸法の基本単位
「計測尺度」
計測された長さ寸法の尺度設定。
基本的には、1を選択。
「省略表記」
「先頭(L)」
少数点以下の表示で、先頭に0が付くと省略されます。
「末尾(T)」
少数点以下の表示で、最後に0が付くと省略されます。
「角度寸法」
単位の形式(A)、プルダウンメニューより、十進表記、度分秒の60進法、グラジアン、ラジアン(弧度法)を選択。
基本的には、十進表記、度分秒の60進法の何れかを選択。
「□変換単位を記入」のチェックボックスをクリック選択すると、「変換単位」、「省略表記」、「配置」などの設定項目を表示。
変換単位は、メートル、インチを併記するときに寸法値のあとに別単位が[]で表示されます。
通常、インチを使用しませんので選択無しにします。
寸法の変換単位
許容差の設定項目には、「許容差の形式」、「省略表記」、「変換単位の許容差」などがあります。
寸法値の後に併記する許容差を設定しますが、通常、建築、土木図面には許容差は設定しません。
許容差の設定が必要な場合は、「許容差の形式」のプルダウンメニューより方法(M)を選択。
方法(M)は、「1つ」、「上下」、「許容限界」、「理論的正確」 の中から選択。
「1つ」、寸法値の後に±(値)で表示。
「上下」、寸法値の後に二列で上に+(値)、下に-(値)で表示。
寸法の許容差
「許容限界」、二列で上に最大値、下に最小値を表示。
「理論的正確」、寸法値が長方形の中に表示。
プラス値、マイナス値の入力は、各欄に表示される値。
高さの尺度(H)は、寸法値に対しての許容差値の高さを比率で設定。
垂直方向の位置(S)は、プルダウンメニューより、下、中央、上より選択。
1つ図面のなかに、縮尺の異なる図形が混在する場合の寸法には、新規の寸法スタイルで「全体の尺度」を設定して混在させるようにします。
サンプル図面の全体の寸法尺度は1/100ですが、寸法線のオフセット、文字の高さは参考できます。
サンプル図面はお気軽にダウンロードできます。
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寸法スタイル サンプル図面