AutoCAD LT の文字作図例を説明、AutoCAD 基本的文字スタイルから縦書き文字、縦長の文字、横長の文字、線分に平行な文字、斜め線に沿った斜体文字、ユーザ-独自のカスタマイズ可能な文字スタイルまで、図面の全体的調和を意図する文字スタイルで想像力を刺激し、AutoCAD入門の手助けとなります。
AutoCAD LTで作図するすべての図面の文字には、文字高、傾き、縦書きなどそれぞれの文字スタイルを割当てることができ、[文字スタイル管理]によって設定、保存することができます。
文字スタイルは、[メニューバー] ⇒ [形式(O)] ⇒ [文字スタイル管理(S)]、[文字スタイル管理]ダイアログボックスで設定します。
[文字スタイル管理] ダイアログ ボックス
[文字スタイル管理]ダイアログ ボックスでは、スタイル名〈図-A〉、フォント名〈図-B〉、効果〈図-C〉で、より詳細な設定を行います。
[スタイル名(S)]〈図-A〉
スタイル名では、標準の文字スタイル[STANDARD]が準備されていますが、実際に使用する場合は用途にあった新規の文字スタイルを作成する必要があります。
作成されたスタイル名は、プルダウンメニューより名前変更、削除ができます。
[文字スタイル管理]ダイアログボックス
[新規作成(N)]
文字、数字の組み合わせで255字までのスタイル名が指定できます。
[名前変更(R)]
作成された文字スタイル名の変更。
[削除(D)]
使用しない文字スタイルの削除。
[フォント名(F)]〈図-B〉
プルダウンメニューより、TrueTypeフォント、AutoCAD 用に設定されたshxフォント名を選択。
AutoCAD LTのshxフォントは、簡素化された文字で、印刷、表示は早いですが、文字の体裁は良いとはいえません。
TrueTypeフォントは、Windows標準の文字スタイルでワープロなどに使用されている明朝、ゴシック、楷書体等。
[ビッグフォントを使用(U)]
[ビッグフォントを使用(U)]にチェックすると、[フォント名(F)]から[SHXフォント(X)]に変わり、[フォントスタイル(Y)]が[ビッグフォント(B)]にかわります。
[ビッグフォント(B)]プルダウンメニューより[bigfont.shx]を選択。
Windows標準のTrueTypeフォントは表示されません。
[ビッグフォントを使用(U)]は、SHXファイルだけに適用されます。
フォント名でSHXフォントを選択し、[ビッグフォントを使用(U)]をチェックなしにすると、日本語、数字はゴシックのTrueTypeフォント、英字はSHXフォントになります。
SHXフォントを使用するなら、日本語(ビッグフォント)と英字フォントの両方を組みこんで使用するので[ビッグフォントを使用(U)]にチェック。
[高さ(T)]
文字高の設定をします。
高さを0にすると、文字を入力するたびに、文字の高さを指定することができ、高さを設定すると文字高は固定されることになります。
0 より大きい値を入力すると、この文字スタイルの文字の高さが設定されます。
[効果〈図-C〉]
作図されるフォントに、上下を逆、前後を逆、縦書き、幅係数、傾斜角度などの特徴を与えます。
文字の上下を逆
[上下を逆(E)]
作図されたフォントを上下、逆にする。
文字の作図には、マルチテキストとダイナミック文字記入がありますが、文字の上下を逆にする効果は、ダイナミック文字記入のみでマルチテキストでの効果はありません。
文字の前後を逆
[前後を逆(K)]
作図されたフォントを前後、逆にする。
文字の前後を逆にする効果は、ダイナミック文字記入のみでマルチテキストでの効果はありません。
[縦書き(V)]
ダイナミック文字記入、マルチテキストで効果あり。
文字を縦書きにしますが、TrueTypeフォントでは利用できません。
◇ TrueTypeフォントの縦書き方法として、[フォント名(F)]でtxt.shxを選択、[縦書き(V)]、[ビッグフォント(B)]のチェック選択は無し。
◇ マルチテキストでの幅をフォント幅にする。(ゴシック体)
◇ または、フォント名でTrueTypeフォントを選択、@MS 明朝、@MS ゴシック、@MSP 明朝など、頭に@がついたフォントを選択した後、-90°回転する。(※ 角度回転が反時計回りの場合)
[幅係数(W)]
文字横幅の設定。
1.0 より小さい値になると文字の横間隔は縮まって縦長の文字になり、1.0 より大きい値になると、文字の横幅は広がって横長の文字になります。
寸法スタイルに使用する文字の横幅は、0.7~0.8の範囲が適宜です。
TrueTypeフォントでの効果はありません。
[傾斜角度(O)]
文字を斜体にします。
傾斜角度は、-85から85までの角度を指定、-(マイナス)は左傾き、+(プラス)は右傾きになります。
TrueTypeフォントでは、+(プラス)の傾斜で明朝体、ゴシック体に効果。
※ フォントスタイルの効果は、スタイル名により作図されていますが、スタイル名やフォント名の変更で効果が引継がれない場合もあります。
[文字スタイル管理]ダイアログボックスの[新規作成(N)]ボタンを選択。
[新しい文字スタイル]ダイアログボックスを表示。
スタイル名を書込んでOKボタンを選択。
[文字スタイル管理]ダイアログボックスの[フォント名(F)]で、txt.shxを選択。
[□ ビッグフォントを使用(U)]をクリック選択、[フォント スタイル(Y)]が[ビッグフォント(B)]に変更。
文字スタイル管理 ダイアログボックス
ビッグフォント(B)のプルダウンメニュー一覧から[bigfont.shx]を選択。
TrueTypeフォント使用の場合は、[フォント名(F)]より MS明朝、MSゴシック、正楷書体などを選択。
文字の作図は、[メニューバー] ⇒ [作成(D)] ⇒ [文字(X)] ⇒ [マルチテキスト(M)]、[ダイナミック文字記入(S)]より選択、または、作成ツールバ-より[マルチテキス]を選択。
文字の作図は、実寸での作図であり、印刷時には縮尺に合わせて出力されます。
作図する文字は、縮尺の逆数を掛ければ適度の書体になります。
斜め線に沿った文字の作図には、マルチテキスで書込んだ文字を線分A、Bに沿って回転移動します。
線分Aをクリック選択、[メニューバー] ⇒ [ツール(T)] ⇒ [情報(Q)] ⇒ [オブジェクト情報(L)] ⇒ XY 平面の角度より角度を得る。
文字をクリック選択、[メニューバー] ⇒ [修正(M)] ⇒ [回転(R)] ⇒ 回転基点に線分Aの端点aをクリック選択。
線分に平行な文字
回転角度に、XY 平面の角度より得た角度を入力。
回転角度で線分Aと離れる場合は、移動コマンドで線分Aの上に移動。
線分Bの場合は、回転基点を線分Bの端点cをクリック選択。
回転角度に、 XY 平面の角度を入力、または、XY 平面の角度-360°を入力。
※ 上記の図①のような作図は、一例であり実際の作図では不適当かもしれません。
図②のような作図方法もあります。
[修正(M)]より[回転(R)]を選択、またはツールバーより回転をクリック選択。
回転する文字をクリック選択。(図②-Ⅰ)
OSNAP設定で端点をクリック選択、OSNAPをON。
線分に平行な文字
回転基点に線分Aの端点aをクリック選択。(図②-Ⅱ)
回転角度に線分Aの端点Bをクリック選択。(図②-Ⅲ)
線分より離れた文字を線分の上へ移動。(図②-Ⅳ)
文字入力
[文字スタイル管理]ダイアログ ボックスの文字高さを0に設定していると、文字の書式設定ダイアログ ボックスより文字入力の度に高さを指定することができます。
文字入力でマルチテキストを選択、文字基点を指定した後、文字幅を入力すると文字の書式設定ダイアログ ボックスが表示され、文字入力が出来るようになります。
文字入力・文字サイズ変更
図Aは、[文字スタイル管理]で設定されたスタイル名、文字新規入力時には図Bに文字の高さを入力。
入力された文字の高さは、次回入力時まで引き継がれます。
文字入力時のコマンドウィンドウ
コマンド: _mtext 現在の文字スタイル: "文章" 文字高さ: 1000.0000
最初のコーナーを指定:文字基点をクリック。
もう一方のコーナーを指定 または [高さ(H)/位置合わせ(J)/行間隔(L)/回転角度(R)/文字スタイル(S)/幅(W)]: w
幅を指定:25000
テキストウィンドウに文字の書き込み。
入力された文字高、幅の変更には、、オブジェクト プロパティ管理を使用します。
修正するオブジェクトを交差選択、交差窓選択で選択状態にした後、[修正(M)]メニュ- ⇒ [オブジェクト プロパティ管理(P)]を選択。
文字メニュ-から高さ、幅を変更。(図B)
テキスト内容、スタイル名の変更もできます。(図A)
文字サイズの変更
AutoCAD LTの図面を開くと、たまに入力された文字が省略化されていることがあります。
複雑な図面で描画速度を速くするための措置だと思いますが、不慣れな方には意味不明な文字かもしれません。
文字の省略化には、[メニューバー] ⇒ [ツール(T)] ⇒ [オプション(N)] ⇒ オプション ダイアログボックスの[表示] ⇒ 表示機能 ⇒ □ 文字の境界フレームのみを表示(B)にチェックします。(図-A)
図-Bは、TrueTypeフォントで作図した文字ですが、文字の省略化をすると図-Cになります。
省略化機能を終了するには、文字境界フレームのチェック選択を外し、適当な文字選択後、マルチテキスト開いて閉じるだけで省略化機能が終了し、文字が表示されるようになります。
文字の省略